平型スレート瓦(コロニアル・カラーベスト)屋根塗装の問題点
スレート瓦は見た目にはわかりづらいですが、瓦の隙間(矢印部分)から水が入り→瓦の下を通り→外部に排出されています。
実際にわかりやすいように瓦を剥がしてみますと、
このように水が流れている部分の様子が確認できます。
通常は外部に排出されるため問題はありません。
しかし、屋根塗装時に塗装によって出口が塞がれた状態 ↓ となってしまうと、
外部に水の排出できなくなり瓦裏側に水が溜まってしまい、瓦を固定するための釘孔(丸内)から建物内への水の侵入が始まっていきます。
下の写真はタスペーサーのカタログからの転載したものになるのですが、屋根材を固定している釘が瓦の下にある防水シートや下地材(野地板)を貫通し、屋根裏(小屋裏)まで達していることがわかるかと思います。
瓦の裏に水が溜まってしまうとこの釘孔から建物内に水が侵入していき、周囲の下地材を腐食させながら(←の写真参照)最終的に室内の漏水へと繋がっていきますので、瓦の重なり部分は塗料によって塞いでしまうことが無いように、注意しなければいけません。
スレート(コロニアル・カラーベスト)屋根塗装時に起きる問題 → 「屋根 縁切り 問題」 Google検索
以前の縁切り方法について スクレーパー・カッター等
スレート瓦を塗装する場合、隙間を塗料によって塞いでしまうことによって
- ・室内への漏水
- ・屋根下地材の腐食
これらの問題がありますので、隙間を塞いている塗料を切り取り、瓦と瓦の縁を切る「縁切り」が必要不可欠となっておりました。
しかしこの方法での縁切りは少々問題もあり、塗装後一定期間経過した後(塗料が硬化した後)に行わないと、
- 1.塗料によって再度瓦同士が密着してしまう恐れ
- 2.縁を切った部分の塗装が傷んでしまう ↓
そして何よりも、
- 4.非常に時間が掛かる
と、少々問題もある作業でした。
参考程度に話しますと → の現場の縁切りは4名体制で作業を行い、開始~終了まで5時間程度掛かっています。人工数で言えば2.5人工。仮に全てを1名で行うとなると、縁切りだけで「2日と半日」という時間が掛かることになります。
「補足」 このようにかなりの労力と時間、また作業にあたってのさまざまな問題があるのが「縁切り」ですので、実際の塗装工事では「行われない」ことも実は少なくなく、このような事から以前のスレート瓦の塗装は、後にさまざまな問題が生じてしまう事になったのではないかと思われます。 |
現在の縁切り方法について 縁切り部材「タスペーサー」
近年は上記の問題(1~4)を解消し適切に縁切りを行える縁切り材「タスペーサー」で、屋根の縁切りを行うことが一般的になりました。
タスペーサーはこのような製品(材質:ポリカーボネイト)です。「02」と「03」の2種類がありまして、塗装時に瓦の狭い場合は「02」、隙間が広い場合は「03」を使用して縁切りを行います
タスペーサーを瓦の隙間に挿入し
タスペーサーの厚み分瓦を浮かせ隙間を作ることによって、瓦と瓦の縁を切っています。
この隙間から水の排出を行うことができるのが、以前の縁切りとは違う「タスペーサー」による縁切りの特徴となります。
この方法での縁切りは屋根の塗装を仕上げる前(下塗後)に挿入を行いますので、
- ・仕上げ面を傷つけない
- ・縁切り後、瓦の再密着の恐れがない
ことに加え、以前の縁切りに比べて
- ・労力・時間共に掛からない
ため、非常に効率よく作業を行うことができます。
※縁切り材「タスペーサー」は特殊な形状(クボタ アーバニーなど)は不向きなこともありますので、そのような形状の瓦は旧来の方法で縁切りを行う必要があります。