戸建住宅 外壁塗装工事における見積書の見方
見積書を取った際に、書く業者の見積書は個々違う記載がされているのが一般的となります。
その見積書の内容の一般的な見方と、工事内容の把握方法を、ここで紹介していきたいと思います。
工事業者を選ぶ際には、見積書というものは非常に重要な判断材料のひとつとなりますので、見積書の見方を理解することは重要です。
稀にですが、建坪×○○○○○円というようなあまりにもざっくりとした見積書のような場合や、数量という箇所に1式という表記の場合ばかりで作成されている見積書などもありまして、そのようなの見積書の場合では、これから説明する内容で中身を把握することは困難になりますので、以下の見方はあてはまりません事、ご了承願います。
最も良い見積書というものは、
内容が明瞭で細部にわたって説明がなされているもの
になりまして、工事の内容が全て見積書内に記載され、説明を必要としなくても見積書を読むことにより、細部にわたり理解することができる見積書が、最も理想的な見積書となります。
この見積書に記載をされていると言う事は非常に重要なことで、後に言った言わないというような事を、事前に防ぐことがで出来ますし、また施主・工事業者にとって工事内容の再確認を行うことができることにもなり、事前に思い違いを防ぐことにも繋がります。
契約を行う以上は、その内容は見積書もしくは契約書などの書面に記載されていることが大事であり、安心して工事を依頼することができる、まず始めの第一歩となります。
そのように考えますと、話の中で確認が取れている僅かな事も、やはり見積書内に記載がされているということは、非常に重要な事になるのではないかと思います。
ここで紹介する見積書は、実際に弊社が工事を行ったお客様に提出しました見積書を例に挙げ、以下、内容の説明を行なって行きたいと思います。
見積書事例 福岡市早良区M様邸 工事名称 : 外壁屋上改修工事 |
上記、M様邸で提出しております見積書は以下のものとなります。
外壁塗装 明細書 |
|
その他付帯塗装 明細書 |
シーリング 明細書 |
明細書内容の説明
それではこの内容で各項目の説明を行なって行きたいと思います。
※画像をクリックしますと拡大表示になります。
「仮設工事」
【名称】 架設足場 掛け払い
【工法・仕様・規格】 一側足場 打込み式
工事を行う際に必要となる架設の組立及び解体費用になります。
この見積書一側足場という仮設材を使用しまして、組立を行うことが記載されていることがわかります。
架設は今回の一側足場の他、門型の鋼材を組み立てていく枠組足場や、クランプと呼ばれる部材を使用して鉄の鋼管で組み上げていく単管足場、現在は少なくなりましてほぼ見かけることは無くなりましたが、丸太で組み立てる丸太足場等の種類があります。
組立の様子 |
一側足場 |
【名称】 飛散防止ネット
【工法・仕様・規格】 メッシュシート
架設足場の周囲のシートの取付費用になります。
今回使用するシートはメッシュタイプのシート(ネット)になりますが、メッシュタイプになっていない白いタイプのシート(防炎シート)などの場合もあります。
このシートは近隣に洗浄の際の水の飛散や、塗料の飛散を防ぐためのものになりますので、近隣が非常に離れている、もしくは山や川などに面しているような場合を除き、ほとんどの場合で必要となります。
また、架設からの落下等の事故も防ぐことが出来ますので、安全上の事を考える上でも設置をすることが好ましい項目となります。
「外壁 塗装工事」
【名称】 高圧洗浄
【工法・仕様・規格】 洗浄圧力 15Mpa
塗装を行う前段階としての高圧洗浄の費用となります。
洗浄圧力が15Mpa(メガパスカル)となっておりますが、この他にkgf/cmなどの単位の場合もあります。
塗装の際の洗浄の圧力は10Mpa以上が好ましいとされておりますので、この値以上であれば問題は無いのでしょうが、高い圧力(15~20Mpa)のほうがより綺麗に洗浄を行うことが出来ることになりますので、少しでも高い圧力で洗浄を行うほうが良いと思います。
【名称】 クラック補修
【工法・仕様・規格】 Uカットシール材充填工法
外壁にクラック等が発生している箇所の補修費用となります。
補修方法に関しましては、Uカットシール材充填工法で行われることが記載されております。
この他の補修方法としましては、シーリング材で表面を埋めて補修を行うシール工法というものがありまして、この場合では補修方法、補修費用、補修目的等、今回のUカットシール材充填工法とは全く異なりますので、比較を行う際には注意が必要となります。
【名称】 シリコーンシーリング処理
【工法・仕様・規格】 専用プライマー処理
補修などに使用しているシーリング材でシリコーンシーリングという種類のシーリング材がありますが、基本的にこのシーリング材の上には塗装やシーリングを行うことができません。
本来はあれば撤去を行いまして、塗装を行うことができるシーリング材(変成シリコンシーリング材、もしくはウレタンシーリング材等)で再度打ち直すことがベストではありますが、この場合、すでに充填してあるシリコーンシーリング材を完全に撤去を行う必要があり、わずかでも表層に残っていると、再度シーリングを行ったとしても、新たなシーリング材は密着不良となってしまいます。
そのような状況下において、基本的には塗装やシーリングを行うことができないシリコーンシーリング材ですが、専用のプライマーを塗布することにより、ひとまず塗装をできるようにするための前処理の工程となります。
ほとんどの見積書にはこの記載はされていないことが多いようです。
シリコーンシーリング材 | 専用プライマー 処理 |
【名称】 塗膜剥離部 補修
【工法・仕様・規格】 ポリマーセメント埋戻し
劣化した脆弱な塗膜の撤去を行い、段差の調整を行うための工程になります。
このような外壁の補修方法は、業者によって補修方法が違いますので、見積書内の表記の仕方は様々になっています。
また、単位は数量が多い場合は㎡で計算、数量が少ない場合は一式となっていることが多いようです。
塗膜剥離 | 既存塗膜 撤去 |
【名称】 外壁塗装
【工法・仕様・規格】 下塗 1液型水性微弾性サーフェーサー 薄塗り工法
上塗 2液型弱溶剤アクリルシリコン樹脂
外壁塗装の費用となります。
数量に関しましてはほとんどの場合㎡となっているようですが、稀に一式ということもあります。
また、【工法・仕様・規格】の欄に、水性シリコンやシリコン塗装などの大まかなグレードの表記のみの見積書などもありますが、できることならば詳細な内容を記載をしている見積書が好ましいと思います。
外壁塗装 下塗 | 外壁塗装 上塗 |
【名称】 パラペット塗装
【工法・仕様・規格】 下塗 1液型水性多機能型カチオンシーラー
中塗 1液型水性アクリルゴム系防水型複層塗材
上塗 1液型水性アクリルシリコン樹脂
パラペットという部位は、外壁に含まれて積算されている場合も多いですが、今回の見積書では塗装の仕様が違うため、別項目で記載を行なっている例になります。
この部位は屋上の一部ということもあり、通常の塗装ではなく防水性を持たせた塗装の仕様となっております。
単位は㎡となっておりますが、mと記載されてる場合もあります。
パラペット 部位説明 | パラペット 塗装 |
【名称】 軒天塗装
【工法・仕様・規格】 下塗 不要の為、 計上しておりません。
上塗 1液型水性反応硬化型塗り替え専用塗材
今回、軒天の塗装の際に使用する塗料は、下塗材不要の塗料を使用しておりますので、下塗の工程は無しとなっております。
塗装の使用によっては下塗材が必要なものもありますので、そのような塗料を使用する際には、下塗仕様の記載や費用がこの見積書に加わることになります。
軒天 部位説明 | 軒天 塗装 |
【名称】 巾木塗装
【工法・仕様・規格】 下塗 不要の為、 計上しておりません。
上塗 1液型水性反応硬化型塗り替え専用塗材
巾木の塗装も軒天と同様の塗料を使用しまして塗装を行います。
説明は上記「軒天」と同様となります。
巾木 部位説明 | 巾木 塗装 |
「その他付帯 塗装工事」
共通して行う下地処理方法を明細書上記に記載しております。
ケレン作業は1種から4種までありまして、各ケレンを行う程度や使用する道具が変わりまして、今回は3種程度のケレンを行うことを記載しております。
【名称】 通気口塗装
【工法・仕様・規格】 2液型弱溶剤アクリルシリコン樹脂
通気口はプラスチック製になりますので下塗材は不要となります。
下地処理ケレンを行った後に、上塗材2回塗布で塗装を行います。
通気口 部位説明 | 通気口 部位説明 |
【名称】 雨樋塗装
【工法・仕様・規格】 2液型弱溶剤アクリルシリコン樹脂
雨樋は塩ビ製となりまして、通気口同様下塗材は不要となります。
下地処理ケレンを行った後に、上塗材2回塗布で塗装を行います。
雨樋 部位説明 | 雨樋 塗装 |
【名称】 エアコン配管カバー塗装
【工法・仕様・規格】 2液型弱溶剤アクリルシリコン樹脂
エアコン配管カバーも同様に塩ビ製となっておりますので、下塗材は不要、上塗材2回塗布で塗装を行います。
エアコン配管カバー 部位説明 | エアコン配管カバー 塗装 |
【名称】 換気扇フード塗装
【工法・仕様・規格】 2液型弱溶剤エポキシ樹脂プライマー+2液型弱溶剤アクリルシリコン樹脂
換気フードは鉄製となりますので、下地処理を行った後に、下塗材にサビ止めを1回塗布しまして、上塗材2回塗布で塗装を行います。
換気フード 部位説明 | 換気フード 塗装 |
【名称】 バルコニー手摺塗装
【工法・仕様・規格】 2液型強溶剤エポキシ樹脂プライマー+2液型強溶剤アクリルウレタン樹脂
バルコニー手摺はアルミ製になりますので、通常はあまり塗装を行うことは無いのですが、美観的なことから今回は塗装を行うことになっております。
アルミに使用することができる下塗材を使用した後に、メタリック仕上げとなりますので吹付で施工を行います。
バルコニー手摺 部位説明 | バルコニー手摺 塗装 |
「シーリング工事」
【名称】 PC板 ジョイント シーリング打替
【工法・仕様・規格】 ノンブリードタイプ 変成シリコンシーリング材
外壁を構成するPC板の継ぎ目に充填してある、シーリング材の打替作業の項目になります。
既存の古くなったシーリング材は撤去を行いまして、新たにシーリング材の充填を行います。
PC板ジョイント 部位説明 | PC板ジョイント シーリング |
【名称】 サッシ廻り シーリング打替
【工法・仕様・規格】 ノンブリードタイプ 変成シリコンシーリング材
サッシと外壁の取合いに充填を行なっているシーリング材の、打替作業の項目になります。
既存の古くなったシーリング材は撤去を行いまして、新たにシーリング材の充填を行います。
サッシ廻りシーリング 部位説明 | サッシ廻り シーリング |
以上の内容が見積書に記載されている項目となります。
このように詳細な内容まで記載をされていると、後から言った言わないということの防止にも繋がりますし、またこの見積書をお互いで確認することにより、内容の再確認を行うこともできますので、見積書は具体的に内容が書かれている物が好ましいと思います。
何(部位)を、何(製品名)で、どうする(施工方法)というこの3つは、基本的に抑えていることが見積書では重要です。