サイディングボードについて
外壁に張る板状の外壁材の総称です。
サイディングボードの種類は3種類あります。
金属系サイディング外壁 | 表面にはスチールなどで施し裏には断熱材を入れており腐食しにくい性質をもった丈夫なサイディングボード。 |
窯業系サイディング外壁 | 耐久性を高めるためにセメントに木片などを混ぜ、プレス成形で板状にしたサイディングボード。 工場塗装のものと現場塗装のものがあります。 |
木質系サイディング外壁 |
天然木などを塗装したサイディングボード。 |
サイディングボードの厚みは以前は12mm厚が主流でしたが、施工上の問題(シーリング厚の確保が困難)やサイディングボード自体の強度向上のため、近年は15~16mm厚での施工が標準になっています。
施工方法も12mm厚では釘留めとなっていましたが、15mm厚では耐震性の観点から専用の金具でサイディングボードを取付けるように変更されています。
また、サイディングボードの外壁は防水性や気密性を保つために、ボードの繋ぎ目(ジョイント部)には伸縮性があるゴム状のシーリング材が充填されています。
下の写真は繋ぎ目にシーリング材ではなくガスケットと呼ばれる定形の部材が取り付けられている例です。
サイディングボードの外壁では 繋ぎ目のシーリング材やガスケットは外壁内への水の侵入を防ぐための重要な役割をもっています。
サイディングボードの外壁構造
一般的なサイディングボードの外壁内部はこのようになっています。
・サイディングボードの外壁を「通気工法」で施工される場合(ケイミュー施工要領書より)
これは実際に建てている施工途中の写真になりますが、サイディングボードを張り付ける前の外壁内部の様子です。胴縁を取り付け後、ハットジョイナーと呼ばれる部材を用いてサイディングボードを張り付けていきます。
また、サイディングボードの外壁は上記の「通気工法」ではなく「直張り工法」で施工されていることもあります。
この「通気工法」と「直張り工法」では外壁内部の構造が違います。
通気工法
透湿防水シートの上に通気用の「胴縁」を取り付け、サイディングボードの繋ぎ目となる部分にハットジョイナーと呼ばれるジョイント用の金物を用い、サイディングボードを張り付ける工法です。
透湿防水シートの間に胴縁を取り付ける事により壁面内部に通気できる空間(通気層)を設けることにより、壁内の湿気を外部に放出できるようにした工法です。
直張り工法
透湿防水シートの上に胴縁を取り付けずに、直接サイディングボードを張る工法になります。直張り工法はこの胴縁を取り付けないため、通気工法のようにサイディングボードと透湿防水シートとの間に通気層ができず、湿気が壁内部に溜まりやすい特徴があります。
サイディングボードは水によって劣化が進行しやすい材質でもあるため、直張り工法で施工されているサイディングボードの外壁は、壁内部に溜まった湿気によりサイディングボードの劣化が助長されやすく、またその湿気によりサイディングボードの表面上にさまざまな不具合が生じやすくなりますので、現在はこの工法で施工されるケースは非常に少なくなっています。
この写真は直張り工法のサイディングボードの塗り替えを行い数年経過した様子です。
この写真の建物は、塗替えの際に弾性系の塗装で塗替えを行っていたようでした。
弾性系の塗料は塗膜が湿気を通しにくい特徴があります。
その結果、①シーリングの劣化に伴ない繋ぎ目から水の侵入→②壁内部が湿潤状態→③湿気を通さない塗装によって湿気が内部に留まる状態が続く→④表面の塗膜に浮きや剥離が生じる
このようなことが原因で写真のような状況を生じさせたのではないかと思われます。
サイディングボードは水によって劣化が進行しやすいため、◯内のように特に水の影響を受けやすい部分などは、塗膜の浮きだけではなくサイディングボード自体の劣化も進んでいます。
また、直張り工法の場合はサイディングボードの繋ぎ目に専用の部材(ハットジョイナー)を使用せずに施工されていることも多いため、
シーリング施工時にカッター等で透湿防水シートを傷つけてしまう恐れもあったりと、外壁の塗り替えなどメンテナンスをする際にも、何かと問題が生じやすい工法でもあります。
サイディングボードのその他の特徴
サイディングボードの外壁は形状の決まったボード(455×3030mm)を繋ぎ合せて造るため、R形状などのデザイン性ではモルタル外壁のような自由度はありませんが、ボ平らな無塗装板のほか、タイル柄、石柄、レンガ柄など非常に種類が豊富です。
また、サイディングボードの外壁は、モルタルや鉄筋コンクリートの外壁のように現場施工ではなく工場生産になりますので、一定の品質を備えることが容易な外壁材になります。
サイディングボードの外壁でみられる劣化の症状や不具合事例
サイディングボードの外壁でよくみられる劣化の症状や不具合は主に
- ・サイディングボードのひび割れ
- ・サイディングボードの破損や欠落
- ・サイディングボードの変形
- ・表面を保護している塗装の劣化
- ・サイディングボードの繋ぎ目・サッシ周囲シーリング材の劣化
などがあります。
サイディングボードのひび割れ
開口部付近のひび割れ
サイディングボードの繋ぎ目付近のひび割れ
サイディングボードの破損や欠損
サイディングボードの欠け・欠損
サイディングボードの破損
サイディングボードの変形
サイディングボードの反り
表面を保護している塗装の劣化
塗装の変褪色
塗装の浮き・剥がれ
塗装の劣化(チョーキング現象)
サイディングボードの外壁は壁内に透湿防水シートがありますので、ひび割れやシーリングの劣化によって水が入ったとしても、すぐに漏水や構造部の腐食につながるわけではありませんが、状況によっては透湿防水シートで水を遮れずに内部まで入ってしまう場合もあります。
下の写真は実際に漏水が起きていた建物の外壁内部の様子ですが、すでに主要構造部の梁や柱が腐食してしまっています。
右の写真は木材が濡れたことにより白蟻被害までも引き起こしてしまった事例です。
ここまでくると修繕費用がかなり掛かってしまいますので、そうならないためにも早期に修繕を行っておくと安心です。
シーリング劣化
シーリング材は主に紫外線によってより劣化します。劣化の程度はシーリング材表層に紫外線から守る枠割の「塗膜」の有無によって変わります。塗膜が無い場合は塗膜がある状態に比べ短い年月で劣化し、役割を果たせなくなる事が多いです。
劣化の程度はシーリング施工時の施工品質にも左右されるところが多く、適正のシーリング厚が守られているないでは、表層に塗膜の有無に関わらず、早期に劣化してしまうこともありますので、建物の状態を確認する際にはシーリングの状態を確認しておくと良いです。
サイディングボードは外部からの水の侵入を防ぐ役割をこのシーリング材が担っていますので、劣化している様子が確認できる場合は、なるべく早い段階で補修を行っておくと安心です。
下地処理について
サイディングボードの外壁は、継ぎ手部(ジョイント部)やサッシ廻り・その他のシーリング材の劣化により、外壁内部に水の侵入が始まります。
外壁の内側には防水シートがあるためすぐに漏水に繋がるとは限りませんが、防水シートやサッシ・板金の収まり次第では、早い段階で漏水が発生してしまうことも多いため、シーリング材の劣化が見られる場合は早期の段階で処置を行っておくと良いと思います。
サイディングボードにとって重要な部位になるシーリング材ですが、新築・塗替時共に施工品質によっては数年で不具合(シーリング材と接着面の剥離等)が発生するなど問題も生じやすい部位となりますので、施工の際には適切な方法で補修を行うことが重要です。
サイディングボードの破損・欠損
このような症状は部分的な補修ではなくサイディングボードを張り替える必要があります。写真のような状況では外壁内部に水が入っていると思われるため、サイディングボード自体の強度低下もさることながら、内部の下地まで劣化(腐食)している可能性が非常に高いと思われます。早期の処置が必要です。
塗膜劣化(チョーキング)
塗装全般に共通する塗膜劣化の症状です。手に付く粉状の程度や量にもよりますが、保護する機能が失われている状態となりますので、改めて塗装する必要があります。
シーリング劣化
シーリング材のひび割れ
シーリング材の脱落
このような状態のシーリング材は水の侵入を防ぐ事が出来ません。既存のシーリング材を撤去した後に新たにシーリング材を充填する必要があります。
シーリングの施工方法は2通り(2面接着と3面接着)ありますが、サイディングボードの繋ぎ目(ジョイント)はワーキングジョイント(動く事が想定されるジョイント)と呼ばれる目地になりますので、動きに対応できる2面接着で施工を行うことが基本となっています。 シーリングに関しましては個別のページを作成しておりますので。 |
具体的な施工例の紹介
日々更新を行っている工事日誌のサイディングボードの施工事例です。毎日の作業内容を日報形式で詳しく書いております。
糸島市K様邸 サイディングボード・スレート瓦塗装工事 |
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糸島市M様邸 サイディングボード・スレート瓦塗装工事 |
サイディングボードの塗装費用について
塗装費用に加えてシーリングの費用が掛かりますので、外壁塗装の費用はモルタルなどの外壁と比べ少々高くなります。
「外壁面積150㎡での費用の比較」
同じ面積の場合、シーリング費用が不要となるモルタルほうが費用の合計は安くなります。
サイディングボードに適した塗装仕様について
下塗にシーラー(プライマー)またはサイディング用サーフェーサー、上塗にアクリルシリコン樹脂という組み合わせが現在は主流となっています。下地(既存塗膜)の劣化によってはサイディング用サーフェーサーの前工程でシーラーの塗布が必要となる場合などもありますので、外壁塗装を検討する場合は、施工業者と入念な打ち合わせを行った上で仕様を決めるようにすると良いでしょう。
サイディング塗装でナカヤマ彩工が採用している塗装仕様
「関西ペイント」下塗が必要な場合 | 下塗材 | 上塗材 | 備考 |
アレス水性エポレジン | アレスアクアシリコンAC2 | 水性 低汚染型 | |
セラMシリコン2 | 弱溶剤 低汚染型 | ||
ムキフッソ | 弱溶剤 高耐久 低汚染型 | ||
「菊水化学工業」下塗が必要な場合 | |||
キクスイ浸透性プライマーE | 水系ファインコートシリコン | 水性 低価格 |
ナカヤマ彩工がお勧めする塗装仕様
「水谷ペイント」下塗が必要な場合 | 下塗材 | 上塗材 | 備考 |
水系Wシーラー | リフレッシュフィラー | 水系ナノシリコン | 水性 標準 |
ナノコンポジットシーラーⅡ | ナノコンポジットW | 水性 高耐久 低汚染型 | |
リフレッシュサフェーサーエポ | ナノコンポジットW | 下地の劣化が著しい場合 | |
「エスケー化研」 |
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マイルドシーラーEPO | 水性ソフトサーフSG | 水性セラミシリコン | 水性 低価格 |
水性セラタイトSi | 水性 低汚染型 | ||
水性セラタイトF | 水性 高耐久 低汚染型 |
サイディングボード2色塗り分け
サイディングボードの目地部分と表面部分を違う色で塗り分ける塗装方法になります。
通常の塗装よりも費用は掛かりますが、元々のデザイン性を損なわずに仕上げることが可能です。